O・TO・GI〜百鬼討伐絵巻〜 maintheme

『Voice』

白露 光頼みて 幹の内
捧げば 神の御剣 華の内

茜路 草木を深み 徒徒
望月 荒都照らし 何処へ

散る 水の音に 身の蛇崩 諾して
散る 鐘の音に 一夜起つ

うつろい いつぞ薄れぬ 理
歩けば 山に里に 密やかに

形は 鬼というらむ 華の影
この身は 如何に生くべき 死すべき

宵闇 青き星と月の光 抱きしめ
暁 霊極りて いずこ 去り往く

舞い散る 水の音に 身の蛇崩 諾して
散る 鐘の音に 一夜起てり

嗚呼 君 想い燃ゆる 茅の輪くぐれ 焦がれて

君 行けば其処に 伏して 待てり



【超意訳版】

露が幹の内に 光を頼みに白く輝く
咲き誇る華の内に 神の剣を捧げば
続く道の草木は 深い茜色に染まり  
満月は荒れ果てた都をただ照らして 何処へゆくのだろうか

散り消える水音に いつか崩れ落ちるだろう我が身を重ね見て
遠く響く鐘音の中 この夜に一人起ち行く

流れゆく時の中で 理はいつしか衰え
山や里を歩けば 密やかに蠢く 
鬼と呼ばれる異形のものたちを 
その影に抱えた 表は華やかな現世で
この身は 如何に生きるべきか 死ぬべきだろうか

夜の闇の中 青い星と月の光を抱きしめるけれど
夜明けには 魂も尽き果てるこの身なれば
何処へ去りゆくのか見届けられる筈もない

舞い散る水音の中に 崩れ落ちる我が身を宿命としながらも
遠く消える鐘音の中 この夜に独り佇んでいる
嗚呼 君よ この想いは燃え立つ 茅の輪をくぐって来られよと そう願い焦がれて
貴方が行かれたなら そこに 私は跪き訪れを待っている

【訳:BLACK】


ひとすじの光、残露の幹へ。
捧げられし剣(つるぎ)は華の中。
あかね路、茂る草木を、踏み分け入りて、
満月に照らされた荒都を越えて、
あなたは何処(どこ)へ向かうのか。

一夜限り、鐘の音と、
散りゆく我が身を受け入れん。

ことわりは変わりゆくもの。
ひそやかに、行く先へ、流れゆく。
我が身は鬼と成りゆくも、
どんな生き様を刻むのか。
深まる闇、伴は月星。
――だが、
夜明けとともに消えゆく者が、
どこに行けるというのだろうか。

散りさざめくゆく光の中。
運命(さだめ)を受け入れし、一夜。
燃ゆる想いに、けがれを祓い、
伏して待つのは……

【訳:かしなさん】